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の疑いをかけられぬとも限らぬ

の疑いをかけられぬとも限らぬ。 わたしが誤った動きをすれば、我が子・三法師にもが及ぶやも知れぬ。…わたしのせいで、織田一族の平穏を乱すような真似はしたくないのだ」 「…兄上様」 「このまま、慈徳院がわたしのとして建立してくれたこの大雲院で、ひっそりと暮らし続ける方が良いのじゃ」 のように澄んだ面持ちで、心中を語る信忠に 「そうやも知れませんね。…確かに私も、兄上様が名乗りを上げてご苦労なされるよりも、ここで僧侶として仕え、 平穏にお暮らし下さる方が心丈夫にございますもの。きっと様や慈徳院殿、そして松姫様も、それを望んでおられましょう」 と胡蝶は微笑んで告げた。 満面に笑みを広げる妹の面差しを目にして、https://plaza.rakuten.co.jp/aisha1579/diary/202411160001/ https://freelance1.hatenablog.com/entry/2024/11/16/165640?_gl=1*o3ob3o*_gcl_au*LTPe21veLZJBRJPdfAmRozqD1N1yu8xRDZ. https://ameblo.jp/freelance12/entry-12875241013.html   信忠は思わず、として双眼を見張った。 胡蝶の面上に一瞬、在りし日の濃姫の面差しが重なったのである。 それくらい今の胡蝶は濃姫とよく似ていた。 「如何なされました?」 「…いや。何でもない」 信忠は我に返り、苦笑を浮かべると 「そうじゃ。そなたもこの機に、松姫や慈徳院に己の素性を明かしてはどうだ?」 その方が何かと都合が良かろうと、焦りを隠すように告げた。 しかし胡蝶は笑んで首を横に振る。 「それは遠慮しておきまする」 「何故じゃ?」 「父上様が申しておりました。密事を知る人間は少ないに越したことはないと。だからこそ守り抜ける秘密もあるのだと」 「…父上が左様なことを」 「何も松姫様や慈徳院殿に信が置けぬという訳ではないのですよ。…ただ、松姫様も慈徳院殿も、母上様が生きておられると思うて喜んで下さっておりまするし、それに──」 胡蝶はふっと一息置いてから 「あまり、ったような真似はしたくないのです」 と言葉を継いだ。 「今の私は、誰かの支えや助けによって日々を過ごしている身の上にございます故、己をめる為にも、 あまり多くのことは望まず、今あるだけに甘んじて生きていたいのです」 のように聞こえるやも知れませぬがと、胡蝶は恥ずかしそうにんだ。 「…いや、わたしも考えなしなことを申して悪かった」 やおら信忠は真摯な面持ちになって、小さく頭を垂れた。 「そなたの志、今ならばよう分かる。わたしも、そなたを始めとする、多くの人々の助けによって今がある故」 「兄上様」 信忠は胡蝶の肩にそっと手を置くと 「わたしには、もうそなたを支えてやれるような力はないが、いざという折には、我が身をして、そなたのことを守ってやる。 に織田家当主という役目を捨て去ることが出来ても、胡蝶の兄という役目だけは、決して手放しとうないからな」 広縁に降り注ぐ月光のように、静かで和やかな微笑を浮かべた。 胡蝶も、その言葉に感謝するように柔和な笑みを広げていたが、やがて 「…んふふっ」 と、枯木を擦り合わせるような小さな笑い声を漏らした。 「されど、兄上が本当に手放しとうないのは、松姫様の御許嫁としてのお役目なのではございませぬか?」 「…っ、またそなたは。兄をからかうようなことを」 薄紅色に染まった信忠の面差しを眺めながら、胡蝶は愉快そうに笑った。 ──兄上様、感謝致します。私の心に添うてくれて。何より…生きていて下されて。 胡蝶は本音を心の底に秘めたまま、暫し広縁で、久方ぶりの兄妹の語らいに花を咲かせるのだった。 翌 天正十三年(1585)の春。 胡蝶の姿は、母・濃姫の故郷である(岐阜)にあった。 胡蝶はその細い身を “ 信長公御台 ” として輿に乗せ、梶川近くの広い畦道をしずしずと進んでゆく。 輿の両脇には侍女の古沍とお菜津が付いていたが、その前後には岐阜城から

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