が、姫の心の中であぶくのように湧き、今にも溢れ出しそうだった。
どうして、何故こんなことになってしまったのか?
あと一日 謀反が起きるのが遅れていれば…。
あと一日早く、都に着いていれば、信忠に会うことが出来たのに。https://carinacyril786.pixnet.net/blog/post/163331044 https://carinacyril786.e-monsite.com/blog/--15.html https://www.evernote.com/shard/s729/sh/bd8f14a0-805c-fa1d-18e9-46a66c51dce2/tgepurh8r55nwjNYvZM9mEqDT0T4DeZXJvvW5hHrm-wt2ug1JEmln6cG6A
『 …会いとうございました、信忠様。せめてひと目だけでも、あなた様のお顔をしたかった… 』
『 “ 有り難う ” と。“ 私を想い続けて下されて、嬉しかった ” と、お伝えしたかったのに…… 』
熱い涙をほろほろと流しながら、松姫は、ただ信忠の為だけに泣いた。
涙でぐしゃぐしゃになったその面差しは、良人を亡くした妻の顔そのものだった。
半年も経たぬ内に、親族から未来の夫までも立て続けにった松姫の心情をりながら、
水篠は “ 自分までもが泣いてはいけない ” と、涙が出そうになるのをグッとえて、ひたと前だけを見据えて歩き続けた。
皮肉な程に青々とした快晴の空が、今日は少しんで見えた。
──時を数刻ほど巻き返した、同日のの刻(午前8時頃)。
信長・信忠父子を討ち、京の都を押さえた光秀は
「本能寺、二条御所ともに、逃げ延びた者共は大勢おろう。ちに近隣の家々を調べるのじゃ」
と兵たちに命じて、信長及び信忠の残党狩りに乗り出していた。
大勢の明智兵が洛中の町家に踏み込んで、荒々しく落人を捜索する有り様は、目も当てられぬ程だったという。
その後、近江の軍勢が攻め上がって来ることをした明智勢は、その日の内に京から(瀬田)へと軍を進めた。
光秀は、勢田(勢多)城主である山岡と、その弟・に対して
「──こちらへ人質をお預け下さいませ。許されるならば、是非とも我らにお力添えの程を」
と、彼らしい鄭重さで協力を申し入れた。
しかし山岡兄弟は首をに振ろうとはせず
「──我らが信長公より受けた御恩は浅きものではございませぬ。今も 有り難きことと思うておる故、ご協力は致し兼ねまする」
と返答した上で、熱田(瀬田)の橋と居城に火を放って、山中へと退去したのである。
その為 明智勢は三日をかけて仮橋を設置し、光秀は坂本城に戻って、六月四日までには近江をほぼ平定したという。
そして翌五日──。
「開門ーーーッ!」
光秀は、光忠、利三、行政ら重臣たちや、その背に続くな造りの城門をくぐり抜けると、彼方に閣に目をやった。
『 何と美しい…。初めて、あの天主の美しさに気付き申した 』
信長が生きていた頃は、織田政権を世に主張せんが為の、派手派手しい建物のようにしか映らなかった。
が、今こうして自分の物となった天主閣を改めて眺めると、何と色鮮やかで壮麗なことか──。
信長の遺骸も発見出来ず、支持者も早々に集めねばならない多事多難の時であったが、
光秀はひと時その苦労を忘れて、生真面目なその顔にかな笑みを浮かべていた。
やがて一行は、安土城南殿の信長の御座所に入ると、畳敷きの上段に光秀を迎え、重臣たちは総床板の下段に整然と居並んだ。
一同は揃って頭を下げると
「殿…いえ、上様。ご入城おめでとう存じかな笑みを浮かべていた。
「まことに祝着至極。上様が本来いるべき場所に、ようよ御君臨あそばされましたな」
光忠、秀満が笑んで口上を述べた。
「二人ともってかぶりを振った。