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「そなたたちも、早よう外へ逃げなさい」

「そなたたちも、早よう外へ逃げなさい」 

 

背後の物陰に隠れていた齋と古沍に、優しく告げた。 

 

「そんな!御台様を置いて逃げるような真似は、私には出来ませぬ!」 

 

古沍は言うが、濃姫は「ならぬ」とする。 

 

「私も主人として、そなたたちを危険に巻き込むような真似は出来ませぬ。これ以上 明智勢が攻め込まぬ内に、ここから逃げるのじゃ」 

 

「しかし!」 

 

古沍が食い下がろうとした時、「放てぇー!」という甲高い声が明智勢から上がった。 

 https://johnsmith123.pixnet.net/blog/post/163331494 https://johnsmith.e-monsite.com/blog/--8.html https://www.evernote.com/shard/s514/sh/a9797a42-2dc5-7866-e7e2-665fe4a628b0/uQwTXPzxDqETmtSBcIWq128AV0xPBVHo0JBA1SDr8U1mga1E5YWNyglEgw

同時に、ヒュンヒュンヒュン!と風を切るような音を立てながら、多くの火矢がち込まれ、 

 

寺の屋根や、御殿内の床板や襖におびただしく突き刺さった。 

 

火を消したくとも、既に半分近くに減ってしまった味方は、敵勢を抑えるのに必死でそれどころではない。 

 

このままでは本能寺が火の海と化すのも時間の問題であった。 

 

 

……まさか、ここまで夢の御告げ通りになろうとは  

 

 

徐々に燃え広がってゆく炎を見つめながら、濃姫はとした表情を浮かべると 

 

  !?    み、御台様、いったい何を」 

 

驚く古沍の横で、濃姫は薙刀のを、長く美しい自身の黒髪に当てると、 

 

それを背の中程で、バッサリと切り落としてしまった。 

「み御台様!」 

 

「何をなされまする!?」 

 

叫ぶ二人を尻目に、濃姫は足元に落ちた黒髪を手早くかき集めると 

 

「古沍、そなたに頼みがあります。これを──このを、安土におる胡蝶の元へ届けておくれ」 

 

と、髪の束を古沍の手に握らせた。 

 

「御髪を、姫様に?」 

 

「ああ。私の遺髪じゃと申して」 

 

古沍は思わず目を見張った。 

 

「御遺髪とは──では御台様は、もしや !? 

 

濃姫はこっくりと頷いて、髪を掴む古沍の手を、両手で包むように握り締めた。 

 

「これが、私からそなたに下す最後のじゃ。母の遺髪を胡蝶に……娘の元へ届けておくれ」 

 

御台様」 

 

「頼みましたぞ」 

 

相手の目をひたと見据えながら、濃姫はな面持ちで頷いた。 

 

古沍はっていたが、近くで「ぐぁああ!」と声を上げて、味方がまた一人倒れたのを見て 

 

承知つかまつりました。必ずやッ」 

 

今は考えている場合ではないのだと、慌てて一礼を垂れた。 

 

古沍が「ご武運を」と、今一度 頭を下げてから立ち去ると 

 

「さぁ、そなたもじゃ」 

 

濃姫は、齋の局をみた。 

 

しかし齋の局は首を左右に振り 

 

「私はここに。御台様と共におりまする」 

 

強い眼光を向けながら言った。 

 

「お忘れにございますか? 安土で行われたえの日に、私が御台様に申し上げたことを」 

 

…… 

 

御台様がへ参れば清洲へ、安土へ参れば安土へ。異国へ参るのでしたら、勿論そちらへも随行致しますと」 

 

「されど、今は事情が── 

 

「私が最後まで、御台様のお側におりますると申し上げた時、御台様は何と申されました?」 

 

齋の局の問いに、濃姫は思わず眉間に皺を寄せ、口をつぐんだ。 

 

それでも齋は追求をめない。 

 

「御台様は、何と申されましたか?」 

………輿入れから三十年以上も付き合わせておいて、今さら付いて来るなとは申せぬ   

 

「それだけですか?」 

 

約束ですよ 

 

観念したように述べる濃姫を見て、齋はまるで勝利者のように微笑んだ。 

 

「御台様が、このままへ参るお覚悟であるのならば、私も共に参りまする」 

 

「齋─… 

 

このような状況にも関わらず、笑顔を絶やさずに言う齋の局が、濃姫の目にはしく映った。 

 

自分も今、 

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