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を振った。

を振った。

 

 かれ自身にもわからないのか、それともいいたくないのかはわからない。

 

「たまの準備が整ったようだ」

 

 そのとき、https://janessa.e-monsite.com/blog/--70.html https://www.evernote.com/shard/s330/sh/c994be71-c284-71c2-079f-a39a2dd5af5c/5rEy3eolcgVJAeC8cDKxbBLOrTBgy634Vqv3j9bDjgrf7lej9EYYKgrgng https://blog.udn.com/79ce0388/179990820  蟻通がおれのうしろのほうへを向けつつ小声でいった。

 

 振り返ると、俊冬が腰のベルトに「関の孫六」をはさみつつ、こちらにあるいてくる。

 

「この話はまたにしよう。兎に角ぽち、いまは剣術を愉しんでこい」

「魁さんのおっしゃるとおり。いまはなにもかんがえず、かれとの勝負を愉しめばいい」

 

 島田と伊庭にそれぞれ肩をたたかれた俊春は、また無言でちいさくうなずいた。

 

「ねぇ、みてよ」

 

 そのタイミングで、田村が駆けよってきた。

 

「兼定、とってもクールになったよ」

 

 田村の後ろからあらわれた相棒をみてクラッときたのは、頭上に輝く太陽のせいでもこれまで話していた話の内容の重さのせいでもない。

 

 全身砂まみれの相棒をみて、もはやどう元に修復するかわからなくなったからである。

 

 俊春も同様らしい。

 

 かっこかわいいに、なんともいえぬが浮かんでいる。

 

 相棒よ。いくら田村の気をひくためとはいえ、いくらなんでも砂にスリスリしすぎだろう?

 

 こうなったら、相棒に水をぶっかけまくるしかない。

 

 そう心にかたく誓った次第である。

 

「ぽち、よかったら「」をつかわないか?」

 

 左腰の「之定」をさすりつつ、俊春に提案してみた。

 

「ありがとう。だけど、今回は「」や「関の孫六」も、ミスター・ソウマの形見のようなものだから」

 

 かれは、左掌にある「村正」をかかげてみせた。

 

「島田先生や八郎さんのいうとおりだ。いまは愉しんだらいい。さきのことは、みんなでまたかんがえよう。いいね?ほら、笑顔で。そんなに悲壮感を漂わせるなよ。この世がいまにも終わってしまうって感じだぞ」

「だから、ちかづかないで」

 

 かれの懐に入る手前で、かれにぴしゃりといわれてしまった。

 

「ちかづかないで?おれはなにもしやしない……

「公衆の面前で、ぼくまで押し倒すつもり?」

「そんなわけないだろう?なんでおれがきみを押し倒さなきゃならないんだ」

「それは、きまっておろう」

 

 蟻通がつぶやいた。

 

「きまっているって……

 

 絶句しているおれの脇を、俊春がかすめるように通りすぎていった。

 

「ありがとう、ハジメ君」

 

 その瞬間、かれが笑顔でいってきた。

 

 かれは、そのまま俊冬のほうへと駆けていった。

 

 そうだ。この勝負だけは、なにもかも忘れてやってほしい。

 

 最強と最強の剣士の勝負を。

 

 二人はおおくの将兵がみまもるなか、しばし会話をかわしていた。すると、俊冬が合図を送ってきた。

 

 全体的にもうすこし下がれ、という合図である。

 

 全員がいまいる場所より四、五メートル下がると、これまでの試合場とは比較にならないほどのおおきさの場所が確保できた。

 

 どうやら、審判はいらないらしい。

 

 もっとも、最強VS.最強レベルの審判が務まるような剣士は、ここに存在するわけもないのだが。

 

 それをいうなら、この世にもあの世にもいない。

 

 はやい話が、できる者はいないというわけである。

 

「ぽちたま先生、がんばって」

 

 向こう側で市村が声援を送ると、今度は田村が負けじと送る。

 

「ぽちたま先生、ファックでシットだよ」

 

 ふむ。田村よ。とりあえずは、がんばれと伝えたいということだな。

 

 そのあとは、この浜辺じたいがシンと静まり返ってしまった。

 

  ここにいるおおくの人が、俊冬と俊春の剣術をみるのははじめてである。

 

 それなのに、ワクワクドキドキをあたえている。

 

 それは、おれたちのように何度もみている者でも同様である。

 

 漫画のページをめくるときのような、そんな期待感がマックスになっている。

 

 いよいよはじまりである。

 

「それで、相棒はどっちの味方をするわけ?」

 

 砂まみれの相棒をみおろし、尋ねてみた。

 

 尻尾が砂を掃きつづけているけど、いまさら尻尾がどうなろうがどうでもいい。

 

 うっ……

 

 めっちゃにらみあげてきた。

 

 上から目線ではなく、下から目線だ。

 

 めっちゃ怖いんですけど……

 

 どっちの応援をするのかときいただけなのに、なにが気に入らなかったというのか?

 

「そ、それで銀は?銀はどちらの応援をするんだ?」

 

 あまりの緊張と不安で、思わず田村にふってしまった。

 

 おれ、へたれすぎるぞ。

 

「うーん。二人とも応援したいかな。だって、二人とも大好きだもん」

 

 子どもらしく、っておれよりすこしだけ背が低いだけで、たぶんだが、兎に角、かれは子どもっぽい笑みとともに、かれはどっちつかずの返答をよこした。

 

 これはもう、パーフェクトに大人な対応だ。

 

「でっ、島田先生と蟻通先生と八郎さんは?」

「うーん。二人とも応援したいかな。だって、二人とも大好きだもん」

「うーん。二人とも応援したいかな。だって、二人とも大好きだもん」

「うーん。二人とも応援したいかな。だって、二人とも大好きだもん」

 

 間髪入れず、三人とも田村とまったくおなじ返答を投げつけてきた。

 

 なかなか大人な対応だ。

 まっ、大人だからあたりまえか。

 

「ならば主計、おぬしは?」

「うーん。二人とも応援したいかな。だって、二人とも大好きだもん」

 

 島田に問い返され、おれも大人な対応をした。

 

「やはり受けだ」

「やはり受けだ」

「やはり受けだ」

「やはり受けだ」

 

 ソッコーで島田、蟻通、伊庭、田村が声をそろえていうではないか。

 

 

 下をみおろすと、相棒も口吻をムズムズさせている。

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