ふむ、徐栄は良将であるな。充分脅威を与えた、離脱するぞ。河を右袖にして進むのだ!」
平野部を占拠している徐栄の支隊、あの猛烈な戦闘を見せつけられどれだけ持ちこたえられるかと隊長が渋い顔で想定した。
「皆の者、両隣と助け合いその場で身を守れ! 避孕藥香港 突破されても構わぬ、生き延びることを優先せよ!」
こんな馬鹿な話はないが現実は残酷だ、通すまいと奮戦すればするほど大被害を受けてしまい、結局は抜けられてしまうと判断する。本来ならば馬止を間に置いて隊を横に伸ばして防衛するつもりだったが、馬止の後ろに部隊を配置、左右前列に盾を集中配備し密集陣形に変えてしまう。
その様子は徐栄からも見ていたが、今は怒る気にもなれなかった。案の定孫堅の騎馬隊はもののついでに封鎖部隊を軽く蹴散らして東へと逃げ去って行ってしまった。
「なんなのだアレは!」
手にしていた矛を地面にたたきつけると大声で不満を吐き出す。目を閉じて上下する肩を意識して落ち着けると「負傷者を孟津に運ぶ手配を行え。この場で陣を敷いて昼まで休んだ後に帰還するぞ」司令官としての役目を全うする。
徐栄は有能だ、董卓麾下で中郎将を与えられているだけあり優れている。そんな者がかなわないと思えるほどの相手が孫堅だった、あまりにも強烈過ぎてその後暫く言葉が出てこなかった。二時間程すると『李』の騎兵隊が到着する。
「徐栄様、遅参致しました!」
「李粛か、本来ならば間に合っていたはずだ、気にすることはない」
包囲されている中を逃げ回ったりして、最後は黄河に飛び込む、そうなれば歩兵ではどうにもならない、そこに李粛の騎兵部隊が間に合えば充分だったのだ。ところが想定を大きく外れ、包囲戦すら成立しなかった。
「孫堅軍、そこまででありましたか?」
「お前は呂布の友であったな、ならばわかるだろう。まるでその呂布が何十人とまとまり突撃してきたかのようであったわ」 李粛は呂布の親友で、同郷の部将だ。董卓軍に誘い入れたのは李粛の功績である。
「であるならば、よくぞご無事でおられました」
かける言葉もないとはこれだろう、長居は無用だと幕から出てしまう。黄河を渡って南へ負傷者を運んでいるのが見えたが、結構な人数なのが分かる。
「今攻撃を受ければ守り切れまい。李蒙に増援を要請しておこう、それと癪ではあるが南岸へもだな。誰か伝令に走れ!」
李粛の懸念は的中することになる、徐栄が引き揚げようとすると千の黒い騎兵団が二つ現れ行く手を阻んだ。その上で、どこからともなく孫堅軍も戻って来て攻撃を仕掛けて来る。
「徐栄様は血路を切り開き河陽へお逃げください! 直ぐに李蒙や張済らが増援で駆けつけるはずです、ここは自分揖お任せを!」
「すまぬ李粛、このことは決して忘れぬぞ!」
僅かな手勢を率いて徐栄は騎兵の間を切り抜け、西の山際を駆け上ると山林へと姿を消す。『徐』の軍旗の真下に来ると李粛は声をあげた。
「我こそは徐栄軍団の李粛なり、連合軍の謀反者らよ掛かって来るが良い!」
名乗りを聞くが早いか、曹操の軍がこぞって突撃し到達、ついには李粛を討ち取る。将を討てば戦など終わりだ、徐栄軍団は散り散りに逃げ回り最早戦う意志など感じられなかった。
「島将軍、北東と西より董卓軍の増援がやって来ます!」
増援は歩兵ばかり、構っている暇がなければさっさと離れてしまえば良い。戦場の設定権は常に騎兵の側にのみあるのだ。
「集合の銅鑼を鳴らせ! 総員撤退するぞ、偵察は終了だ!」