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予定通りに引き返すと孫

予定通りに引き返すと孫堅の前にと戻って来た。 

 

「孟津の守備隊の練度は低く、兵数も少ないであろう感触であります」 

 

「そうであったか。港股 南岸を行っていたら弱兵を蹴散らすだけで終わっていたのかも知れぬな」 

 

 うんうんとこれから起こるであろう激戦を想像してしまう。河を渡り増援をしてくるかと言われたら、来るだろう。しかしながら挟撃したり追撃に加わることが出来るかと言うと疑問だ。戦場に辿り着けない部隊など居ないも同然、それだけでも偵察の意義はあった。 

 

「可能な限り兵を休ませ、未明の戦闘に備えよ」 

 

 あるとしたら払暁の奇襲、徐栄ならば部隊を無理してでも進め先手を取ろうとするだろうとの考えから。実際陽が暮れてしまうというのに河陽から軽装歩兵が走り出している最中だ。堂々と篝火を炊き、暖を取りながらそれぞれが眠りにつく。「包囲を破り逃げたとしても、島殿が迫れば勝負がついてしまうであろう。なれば我等が真っすぐに突っ込んでもさして問題もあるまい。ふふ、二十列縦隊だ! 分隊長が先頭に並べ!」 

 

 孫堅の命令で分隊が一列になり、上官の背を見て並ぶ。単純な話だ、前について行けばよいだけ。先頭が倒れれば次の者が戦う、なんの思考も要らない突破力、破壊力を発揮しやすい陣形。中央の先頭が孫堅で、左右に朱治と程普が並ぶ。 

 

「我が軍の目標は『徐』の軍団長旗だ、総員俺に続け、突撃!」 

 

「うぉぉ!」 

 

 何故か包囲奇襲を受けた側が士気を上げて突撃して来る。徐栄は伏兵がすぐ傍に居るのではないかと疑ったが、全くそのような気配はなかった。島介はまだ山から動く気はないので、警戒するだけ無駄。 

 

「敵は小勢だ、歩兵共揉みつぶせ!」 

 

 肩を寄せ合い矛を突き出し馬を威嚇した。先が鋭いものを馬は恐れる、朝日が輝きキラリと光る刃先は軍馬の目にどのように映っているだろうか。 

 

 だが、騎乗している者が一切の不安を感じていないというのが伝播する、軍馬は足を止めずに真っすぐに駆けた。馬上から長柄の武器を振るう騎兵、先頭が転倒でもすれば勢いが削がれる、歩兵もそれがわかっているので何とか馬を仕留めようと矛を伸ばす。 

 

 ところがどうだろうか、その矛を全て打ち払われてしまい、馬の蹄が目の前に迫るとつい身をかわして逃げ出そうとする。先頭から何とか逃げたとしても、後続の矛に突かれ、あるいはすれ違いざまに首を薙がれ散っていく。 

 

「なんだこいつら、強すぎるぞ!」 装備が軽い者が多いので、切り傷一つで重傷に陥る。まるで何もない平野部を行くがごとく騎兵団が突っ走った。異常を感じった徐栄はすぐさま「大盾兵を固め半円を作りその場を死守せよ! 防壁を前後に寄せて厚みを作れ!」陣形の変更を命令する。 

 

 いつもならそれで騎兵の足が鈍って左右に割れて抜けていくのだが、どういうことだろうか全く関係なく防壁を崩しながら突き進んで来るではないか。 

 

 分隊の最前列に据えられている部将、それが尋常ではないのだ。関羽張飛を皮切りに、夏侯一族に曹一族、張遼や甘寧らが横一列で連携しながら迫ってくるのを一体誰が止められると言うのだろう。 

 

「おお、何と凄まじい突破力だ。俺が指揮してきたどの騎兵よりも精強だ! ははははは、突き進め!」 

 

 孫堅がご機嫌で矛を振るいながら突進、それを見て皆がついてくる。いくら強いとはいえただやられるわけには行かない。 

 

「投石、射撃を騎兵団の中央より前に集中せよ! 本陣前に何でも良い瓦礫を置くのだ!」 

 

 

 強いのは最前列のみ、後続は至って普通の騎兵だ。飽和するような射撃や投擲をさばききれずに落馬する者が多くなった。ところどころに瓦礫の馬止があったりし、満足に進めなくなってくる。 

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