すると窓の前で止まった。 「?」 「上にいくぜよ!」 ニカッと坂本は笑った。 「う…上…?」 二階立てだったよね? 坂本は窓を開けると身を乗り出した。 「え…ちょ!ちょ!」 坂本はスルリと窓から身を消した。 美海は窓に駆け寄る。 「こっちぜよー!」 美海がふと顔を上げると屋根の上に坂本はいた。 「早く来るぜよ!」 美海は下を見る。 来るったって…。 ビュゥゥゥゥゥ… 断崖絶壁じゃん…。 下は崖で更に薄暗い森が広がっている。 「みっなみー――!」 坂本はブンブンと手を振る。 あの人が出来るんだ。私もきっと…。 美海は窓に足を掛ける。 ビュゥゥゥゥゥ… ザワザワ… 下を見ると森がブロッコリーのように見える。 落ちたら… 私串刺しかな? 美海は顔を真っ青にする。 無理無理無理無理! 再び部屋に足を下ろした。 https://share.evernote.com/note/aa310945-0935-c4ba-fe85-e2578869103e https://blog.udn.com/3bebdbf2/181353537 https://classic-blog.udn.com/3bebdbf2/181353617 「こらぁぁぁあ!男じゃろ!?」 坂本が美海を急かす。 くっ…。 私は男私は男私は男私は男。 美海が暗示を掛けながら窓際に足を掛けた。目を瞑る。 そうだ。十八日の政変だって池田屋だって乗り越えて来たじゃないか美海。大丈夫。私は出来る気がする! 美海はカッと目を見開いた。 そういう問題じゃないと思う。 ガッ 瓦に手を掛けると坂本が手を出していた。 一気に引き上げて貰う。 「ふぅ……なんでこんな大変な……。死ぬかと思いました…。はしごないんですか。はしご」 「美海」 トントンと坂本は肩を叩く。 「前見てみぃ!」 フッと美海は振り返る。 太陽が眩しくて一瞬目を瞑った。だが、次に目を開いた瞬間沢山の輝きが美海の目に入った。 ザァァァァァア… 「ぅ…わぁ…」 美海は感嘆の声を上げる。 「屋根に上ったら海が見えるんじゃ!」 森の向こうには先が見えないほどの大きな海が広がっており、太陽の光でチカチカと輝いている。 「すごい!」 「そうじゃろ!太平洋じゃ!ここはわしのお気に入りぜよー!」 自慢気に坂本は笑う。 「まさかこんなのが見れるなんて!」 「あの海の向こうには日本以外の国が沢山あるぜよ」 坂本は海を見つめて呟く。 「日本にはまだない技術が沢山発展してるきに。行きたいなぁ…」 海を見つめていた坂本はスクッと立ち上がった。 「?」 「わしはいつか絶対異国と貿易をしようと思う」 美海は黙って聞いている。 「異国から沢山の情報や技術を得たら今の日本はもっと上をいけるけぇ」 坂本の横顔は太陽と海の反射で光っている。 あぁ。この人は馬鹿なんじゃない。 天才なんだ。 太陽が赤く傾いている。もう夕方だ。 「世界は広いぜよ!」 坂本は美海の方を向いてニカッと笑った。 そうですね!と美海も笑った。 そうすると自然に口が開いていた。「ねぇ。龍馬さん」 「なんじゃあ?」 「もしも。もしもですよ?さっき会ったばかりの人間が未来から来たって言ったら。信じますか?」 ふと坂本は真剣な顔で美海を見た。 「んー―――…」 坂本は悩み始める。それを見て美海は我に帰り、私は何を聞いているんだと後悔した。 「信じるきに。目の前で起こってることが全て真実ぜよ」 再びニカッと笑う。 きっとこの人は何を言っても信じてくれる。 「…そっかぁ…。分かりました」 美海は笑った。 この人も…死ぬんだよなぁ…。 「急にどうしたんじゃ?」 「あんまり大声上げないでくださいよ?」 「おう?」 「他言無用ですよ?」 「お…おおう?」 「龍馬さんがどっからきたのかと聞きましたよね?」 「あぁ」 坂本は真剣な顔になる。 「確かに異国からは来てないんです。嘘じゃありません」 できるだけ。助けれる命は助けてあげたい。 「未来から来ました」 先が。未来がわかってるんだから。