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なきように仕えるのじゃ」

なきように仕えるのじゃ」 蘭丸に強く言い置くと 「ではな胡蝶。何か困ったことがあれば、すぐに父を呼ぶのだぞ」 愛娘の頭を撫でながら、甘く微笑んだ。 やおら信長は立ち上がり、蘭丸の傍らに進むと 「姫が見目麗しいからと言って、変な気を起こすでないぞ」 彼の耳元で囁くように告げてから、足早に座を去って行った。 「ではわらわも──。胡蝶、またのう」 報春院も胡蝶に笑顔を向けつつ、信長の背に続くように居間から出て行った。 「齋、私たちも参りましょうか」 「まぁ、母上様たちもお戻りになるのですか?」 「ええ。──蘭丸殿と仲良ようにな」 「…母上様」 二人の仲が深まることを願う濃姫は、齋の局をって、あえて早々に部屋を辞した。 https://plaza.rakuten.co.jp/johnsmith786/diary/202409270001/ https://blog.goo.ne.jp/debsy/e/02b6b953ad4426ecd004442d42fbb518 https://freelance1.hatenablog.com/entry/2024/09/27/191103?_gl=1*cg4l3g*_gcl_au*MTY1Nzk5NjI1Ni4xNzI3NDMyMzI5 「それでは姫様、私は台所の後片付けをして参りまする」 お菜津が一礼して奥へと下がると、室内は、蘭丸と胡蝶の二人きりとなった。 「……」 「……」 静寂が室内を包み込む中、二人の視線がはたと宙でかち合う。 胡蝶は気恥ずかしそうにしながらも、蘭丸に向かってニッコリと微笑んだ。 その愛らしくも美しい微笑に、蘭丸は少なからず、心の高鳴りを覚えるのであった。 ──それから蘭丸は、あくまでも強制的にだが、胡蝶の側に控えることが多くなった。 信長の方針で午前中は胡蝶の部屋で過ごし、午後から小姓の務めに戻るという形で、 弟たちや他の朋輩らには 「蘭には別の用を任せておる」 と、信長の方から一応の説明があった為、蘭丸不在をしむ者は誰もいなかった。 とはいえ、蘭丸も気楽に日々を過ごしていた訳ではない。 胡蝶と関わるようになってから、濃姫や報春院たちとの接触が増え、何かと気苦労が絶えなかった。 蘭丸を娘婿と定めた張本人の信長も、何が気に入らないのか、 近頃は蘭丸に投げかける言葉に一々 があり、態度も冷やかだった。 せめて胡蝶との仲が良好であれば…と思うところなのだが、そこは男女のことには奥手な蘭丸。 三日経っても、五日経っても、蘭丸は胡蝶と言葉を交わすことはなかった。 午前中 胡蝶の部屋にいる時も、彼は御居間の外の入側に控えているだけで、ただ昼が来るのを待つだけの毎日だった。 しかし、この日は違った。 「──それでは行って参りますので、姫様のこと、お願い致しまする」 「…はい。お気をつけて」 お菜津が所用で半日表へ出ることになった為、昼過ぎにがお菜津の代理として駆け付けるまで、 蘭丸は一刻(2時間)ほど、胡蝶と二人きりになる時間が出来たのである。 けれど蘭丸は動揺することなく、あくまでも平然としていた。 《 侍女殿が居ようが居まいが、自分はいつも通りに入側に控えて、時が過ぎてゆくのを待っていればいい 》 そう思ったからだ。 きっと胡蝶も、いつものように書を読んだり、写経をしたり、刺繍をしたりして時を過ごすであろう。 ただじっと待っていれば… 「──蘭丸殿」 思いつつ、ハッと顔を上げると、いつの間にやら胡蝶が真横に立っていた。 いつものように杖で体勢を取りながら、嫣然とって、蘭丸を見下ろしている。 「…な、何でございましょう!?」 慌てて床に双の手をつく蘭丸の声が、思わずる。 胡蝶はくすっと笑うと、小さくかぶりを振った。 「いいえ。特には何も」 「─?」

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