「はやく勝負をみせてください」 「そうです。勝負をみたいです」 それから、子どもらは甘えた声でねだった。 二人とも、グッジョブだ。 「あ、ああ、そうだな。わんこ、おれに遠慮はいらないが、ここには、大勢の誠のがいらっしゃる。アクロバティックなことはいっさい抜きにしろ」 「遠慮はいらない?それ、マジでいっているの?」 「当然だ。おれもマジにやるし、https://www.liveinternet.ru/users/freelance12/post501641871// https://plaza.rakuten.co.jp/aisha1579/diary/202310210009/ https://blog.goo.ne.jp/debsy/e/c2c1c76c78ba93e0d8d2f4b653938b78 おまえの弱点を狙ってゆくからな」 その俊冬の挑発めいた言葉に、俊春は鼻で笑った。 「ぼくは、きみにたいして本気はだせないよ。子どものころとおなじさ。きみを傷つけたくないからね」 「なんだと?」 ダメだ。さらに険悪になっていく。どうやら、子どもらの力でも無理っぽい。 「しっているだろう?ぼくはまだ一度たりとも自分の力をだしきったことはない。なぜなら、自分でもどうなるかわからないからだ」 おいおい、マジかよ俊春。 やはり、「サ〇ヤ人」とか「殺セ〇セー」レベルなのか?いや、きっとそれ以上なんだろう。 でも、カッコいいじゃないか。 『本気をだせば、どうなるかわからない』 酒を吞めばどうなるかわからない、とはまたちがう意味ですごカッコいい。 って、酒とはまったく次元がちがうか。 俊冬は、だまったままである。 かれですら、俊春のパワーについていけないのであろうか。圧倒されてしまうのだろうか。 「ねぇ、賭けをしようよ。ぼくが勝ったら、ぼくの頼み、いや、願いを一つかなえてもらう。きみが勝ったら、きみの願いを一つかなえる。賭けにのってくれるのなら、八、九割までの力をだす」 めずらしく、俊春は強気だし会話の主導権を握っている。 が、どこか必死さがうかがえる。無理に話をすすめようとしている気がする。 いったいかれは、なにをたくらんでいるんだ? 「断る」 俊冬がソッコーで拒否った。 「なるほど。自信がないんだ。それはそうだよね。子どものころから、ぼくがちょっとマジになればやられっぱなしだったから。だったら、いいよ。なにが「眠り龍」だ。笑っちゃう」 二人をよくしる者は、一様に驚いたになっている。 とくに俊春は、「大丈夫なのか?」って肩をつかんで揺さぶりたいほど生意気だし挑発的である。 かれは、もともとそういうキャラじゃない。 ある意味、滑稽でしかない。 「なんだと?生意気な……」 俊冬はいいかけ、そこではっとしたになった。 「おれがそんな挑発にのると思ったのか?馬鹿馬鹿しい。これは、ただの余興だ。おまえが勝つのなら勝つでいい。兎に角、愉しんで剣術をやるだけだ。いいか、その「村正」に恥じぬ戦いをしろ。ミスター・ソウマの教えを忘れるな」 俊冬はそう忠告すると市村の肩に腕をまわし、いつの間にかこちらとは反対側に移動している副長たちのもとへといってしまった。 その背をしばしみつめていた俊春も、田村をうながしてこちらへやってきた。 そのかれの脚許に、相棒が駆け寄った。 ああ、相棒のなめらかな毛は、いまや砂まみれだ。 すぐにでも洗ってやらねば、このさき洗えるチャンスは訪れないかもしれない。 「いったい、なんだったんだ?」 相棒のシャンプー実行を決意してから、俊春に尋ねてみた。 おれの横で、島田と蟻通、伊庭がうんうんとうなずいている。 別にどちらかを贔屓にするとかではないけど、流れで俊春を応援する形になっている。 それは、島田らも同様であろう。 「『いったい、なんだったんだ?』」 俊春は、おれの真似っ子で返してきた。 島田らが「主計にだ」、とおおよろこびする。 「真似をするなよ。おれは、マジなんだから」 「ぼくだって、あんな振る舞いをするつもりなんてなかった。『ちゃんとした勝負は、これが最後かもしれない』なんていわれて、冷静でいられなくなったんだ」 俊春は、かっこかわいいを向こう側にいる俊冬へわずかに向け、すぐにこちらにそれをもどした。 一瞬、田村のことが気になった。が、いまさらに向こうにいけというには不自然だろう。それに、かわいそうだ。 「ぽち、おまえがたまにかなえてもらいたい願いというのは……」 島田が尋ねると、俊春はちいさくうなずいた。 「ほんっとに頑固でわからずやだ」 それから、かれは口惜しそうにつぶやいた。 伊庭も田村もキョトンとしている。 そのキョトンとしたをみながら、俊春の『かなえてもらいたい願い』についてかんがえてみた。 いや、かんがえるまでもない。 副長の影武者になるのをやめさせたい。 これが、その願いであることは間違いない。 それは、かれのものだけではない。 島田や蟻通、もちろんおれもそうだし、ここにはいない局長も気がついていたとしたら、同様にやめさせたいだろう。いや、近藤局長ならやめさせたはずだ。 だれだっておなじだ。 副長自身の死は、どうとでもごまかせる。なにせ、頸がみつかっていないのである。だってそうだ。 副長が誠に死んだかどうかはわからない。 創作の世界でときどきあるように、蝦夷にいるとかロシアにいるとか満州にいるとか、兎に角、しぶとく生き残って雲隠れし、ほとぼりのさめたころに名と姿をかえて大儲けするか大暴れするか、なにかしらでっかいことをやったかもしれない。 ゆえに、副長の影武者など必要ないのである。 いや、かりに影武者をやるとしても、マジで死ぬことはない。 史実にあるとおり、馬上で撃たれるふりをし、そのまま落馬すればいいだけのことだ。 つまり、副長のスタントマンである。 土方歳三役を演じる副長にかわって、壮大な映画のラストシーンを飾ればいいのである。 なにも死ぬ必要なんてない。必要なんてないんだ。 無意識のうちに、唇をかみしめていた。そして、向こうで準備運動をしながら副長と話をしている俊冬に