" 二人がどんな仲なのか、私には関係ないと思っていた。でも、全く気にならないなんてやっぱり嘘だ。考えるよりも先に、私は口を開いていた。「甲斐に相談したいことがあるなんて、かなり信頼されてるんだね。……真白さんって、甲斐の昔の彼女とか?」違うって言ってほしいと、多分心のどこかで願っていた。でも、甲斐の顔を見ればわかってしまう。避孕藥副作用科普当たっていたのだ。「お前、自分のことは鈍いくせに他人のことには鋭いよな」身体を重ねたことで、情が移ってしまっのだろうか。きっと一年前の私なら、甲斐の元カノを見たところで、何も思わなかったはずだ。こんなにモヤモヤすることも、なかったはずだ。「知らなかった……甲斐って面食いなんだね。あの人、凄い美人じゃん」「別に顔で好きになったわけじゃないよ。まぁ、確かに真白は人気あったと思うけど」外見ではなく、内面で人を好きになる。いかにも甲斐らしい返答だと思った。「……いつ頃付き合ってたの?学生のとき?」「そう、高校の頃から俺が就職決まる前まで付き合ってた」もしあの人が昔の彼女だとしたら、きっとそれなりに長い付き合いだったのだろうと感じていた。それは、二人が並んで話す姿を見れば察しがつく。"" 短い付き合いでは感じられないような距離感を、二人から感じ取ったのだ。「……どうして別れたのか、聞いてもいい?」「真白が仕事の関係で北海道を離れることになって、フラれた」「え……」
「仕事に集中したかったんだろ。まぁ、もうとっくに終わったことだから、いいんだけど」本当に終わっているのだろうか。甲斐の中では、完全に過去の恋になっているのかもしれない。
でも、真白さんはきっと違う。きっと今も、甲斐のことを想っている。そんな気がしてならなかった。
「甲斐に相談したいことって……何だろうね」「さぁ。でも、ちょっと深刻そうな声だったから心配だけど」「……そうだね」何となく、前に蘭に言われたことの意味がわかった気がした。私と甲斐が一生親友でいることは、無理だ。甲斐に恋人が出来れば、きっと親友ではいられなくなる。蘭は当たり前のようにそう言った。甲斐が真白さんとヨリを戻す可能性を想像しただけで、胸がきつく締め付けられた。
どんな言葉で表現するのが正しいのかはわからない。ただ、一気に言いようのない寂しさが胸に広がった。"" 真白さんが甲斐の元カノだということは、もちろん私は誰にも喋らなかった。それなのに、一週間が経った頃には既に蘭や青柳にも知れ渡ってしまっていた。「ねぇ、依織は見た?甲斐の元カノ!」「蘭、待って。どうして真白さんのこと知ってるの?」この日私は一人で中庭でお弁当を食べていた。甲斐にお弁当を作ったのは、一週間前の一度きりだ。結局、明日も作ってこようかと言い出せなかったのだ。蘭はちょうど私と休憩時間が被ったため、おにぎりとサラダを手にして中庭にやってきた。「三日くらい前だったかな。甲斐が美女と廊下で話してるとこ見たから、どんな関係なのか問い詰めたの」蘭の厳しい追及からは、きっと逃げるのは不可能だろう。蘭は他人の恋の話が大好きだ。「あの彼女、うちらの二つ年上なんだって」「え、そうなの?」「札幌でカフェ経営してるらしいよ。何か、カフェにいそうな感じだよね」「さすが蘭だね……」私はそこまで真白さんのことを甲斐から聞き出せなかった。本当は詳しく知りたかったけれど、変なプライドのようなものが邪魔をしたのだ。"昨日までは、このベッドには遥希が他の女性を抱いていた記憶がしっかりと染み付いていた。でも明日からの私は、きっと眠りにつく前に甲斐に抱かれた今夜のことを思い出す。それは、私にとって甲斐が心を許せる親友だから。