• っている。まるで人の運

    っている。まるで人の運命のように、ゆっくりと、けれども確実に動き出していた。 その後、直ぐに土方は松本に言われた通りの環境を整える。天候の良い日を狙って隊士全員の布団を全て干させ、万年床を禁止にした。そして豚小屋、風呂桶を三つと脱衣所を備えた湯殿を完成させた。

     

     数日後に再度屯所を訪れた松本は、http://janessa.e-monsite.com/blog/--95.html https://www.evernote.com/shard/s330/sh/44c74a45-2f35-a126-ce38-5a5ef7b77249/SpgyS7wTPwndIqyfht6t1TNlK4SWAjcnLnMOAPt2BiYoHe-qy5koLX6eqA https://blog.udn.com/79ce0388/180124621 それに大層驚く。そして新撰組をいたく気に入り、主治医になることを名乗り出たという。

     

     

     ある日、一番組は巡察を終えて帰営した。桜司郎は山野や馬越と共に足を洗いに行こうと屯所へ向かう。その時、少し離れたところに松原が佇んでいるのを見付けた。

     

    「忠さん……、最近様子おかしいですね」

     

    「だよなァ。何かあったのかねぇ?」

     

     馬越と山野は顔を見合わせる。その時、桜司郎の脳裏に何か話したがっていた松原の様子が浮かんだ。あれ以来隊務が合わず、中々鉢合わせなかったのである。

     

     

    「ちょっと行ってみる」

     

     桜司郎はそう言うと、松原へ近付いていった。山野と馬越もその後を追う。

     

     足音に気付いたのか、松原は振り返った。その目元には大きな隈が出来ている。三人を見るなり、へらと笑った。

     

    「忠さん、その目……どうしたの。すごい隈だよ」

     

    「んん……ちぃと夢見が悪うてのォ。大したことあらへん」

     

     

     気丈に振る舞う松原は何処か痛々しい。これでは巡察で斬り合いになれば命に関わるだろう。それ程までに憔悴して見えた。

     

    「な、何かあったのですか。良かったら……、私達に話して下さい」

     

     馬越の言葉に桜司郎は頷く。そして何かを考え込むように顎に手を当てると口を開いた。

     

    「忠さん、今日はこの後……隊務はありますか?」

     

    「いんや、今日はもう、」

     

     桜司郎の意図を察したのか、言葉の続きを待たずに山野は松原の左腕を取ると、門へ向かって歩き出した。

     

    「そんなら、呑みに行こうッ!馬越っちゃん、桜司郎!行くぜー!」

     

     馬越と桜司郎は顔を見合わせると、にこりと笑って頷く。戸惑いの色を濃くする松原の右腕を桜司郎が取り、その背を馬越が押した。

     

     

    「俺らの兄貴分が落ち込んでンなら、俺らで元気付けるしか無いよなッ!」

     

     そうだそうだ、と馬越がその声に乗っかる。

     

    「兄貴分……か。そうやな」

     

     松原はボソリと小さな声で呟いた。桜司郎だけがそれを聞き取り、松原の顔を横目で見る。苦しそうな表情をしたと思うと、すぐに笑顔になった。

     

     

    「ほな、付きうて貰おかー!酔い潰したるから覚悟しい!」

     

     まるで空元気のようなそれに、桜司郎は胸騒ぎを覚える。 島原の飲み屋に着くと、松原は宣言通りに馬越と山野を酔い潰した。桜司郎はゆっくりと呑んでいたからか、それ程酔ってはいない。松原はそれなりに酒を煽っていたが、全く酔っていなかった。いや、酔えないという表現が正しいのかもしれない。

     

    「うぁ……もう、もう、酒なんて……見たくねえ」

     

    「私も、です……気持ち悪い……

     

     山野と馬越は机に伏せながら、何やら呻き声を上げていた。話を聞きに来たのに何をやっているんだと桜司郎は白い目で両隣に座っている二人を見る。

     

     

    「何や、もう潰れてもうたんか。まだまだ青いのう」

     

     カラカラと笑うと、松原は慈しみの視線で二人を見た。両手の人差し指でそれぞれを突くが、返事が無い。代わりに寝息が聞こえてきた。

     

    「兄貴分……兄貴、か。のう、鈴さんもワシのことを兄貴やと思うてくれとるんか?」

     

     松原の問い掛けに、桜司郎は少しの間の後に頷く。本来は直ぐに肯定したかったが、屯所を出る時の松原の表情が気になったのだ。

     

     

     

    「ほうか。……せやったら、情けない姿は見せられんのう」


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